職場復帰日記 直腸癌闘病記 続編 (2005年8月26日~10月23日)
 
 
 
 
 職場復帰そして1年目に向かい。 

8月26日(金)
AM5:00 目覚ましの音で起きる、何日ぶりであろうか目覚ましの音を聞くなんて。
窓の外からグーウォォォ・・・・・・・と低い風の吹き抜ける音が間断なく聞こえて
くる、台風11号千葉に上陸とのテロップがTV画面に流れた。
起掛けに牛乳1杯、20分後にバナナと牛乳を飲む、先程AM5:50と6:10にお通じが
ある、カリント大3本と2本+軟便ほぼ計算通り、後は朝食を取りもう一度お通じが
あればさぁ出発だ。

PM7:50 帰宅。疲れた、真に疲れた。電車のなか、駅から家までのなんと長かった
ことか、腰が突っ張り足取り重くほうほうのていで家にたどり着き服を脱ぎ捨て風呂
に入る。ウオーォォッ、疲れた・つかれた・ツカレタ・・・と無意識に口から言葉が
あふれもれ、鳩尾がへこみ括れ、体が湯に浮き上がり、湯船から溢れ出す湯の音を
意識の境で聞いていた。

(復帰一日目 追想)
AM7:00 何時もの時間より20分早く家を出る、雨は小降り、台風の影響で京葉線
は間引き運転とのこと、混雑する各駅に乗り出発、途中尻が渋るが台風一過の空
にクッキリとした富士の山を見つけたり、近ずきつつある駅名に緊張したりし無事に
会社に到着する。
復帰挨拶をしたり、遠方の得意先担当者様にメールにて復帰報告をおこなったりした
後、内勤業務をおこなう。足手まといにならず少しは役立てたと自己評価し来週の
月曜日からの出勤に向けた手ごたえを掴みPM6:30に退社する。
帰路地下鉄有楽町駅で途中下車しウオシュレットのあるトイレで様子をみ帰宅する。
PM9:00 就寝、朝まで爆睡する。



8月27日(土)
AM11:00 よく寝た、8時頃に一度目覚めるも体が起きずこの時間になる。
朝食は、パンとご飯のミックス。朝食後、昨晩記録残した日記の部分を追想文として
ワープロ入力する。
昼過ぎ皮膚科に水虫治療に出掛け帰りにそごう百貨店に快気祝いの残り分を発送
しに行く、
一週間前にも来たのだがその時とは体力的にも気持ちの余裕も雲泥の差、随分
回復したものと我ながら感心した、日数が経っていることもあるが昨日の職場復帰を
クリアーした自信が大きいのではないかと思う。便の周期も大分長くなってきた。
復帰二日目も過ぎようとしている、これから未来の明日に向かい体をいたわり時には
酷使し、叉いたわりし、この一つしかないからだと共に歩んで行こうと、切り口が固
くなりだしたお腹の傷を擦りながら心の中で誓った。


8月28日(日)
AM8:00 薄曇り、青汁一杯飲む。
朝食後ホームページの更新準備をする予定、”リハビリ日記”も今日から未来の
明日に向かい、特異日や週記に変えようと思う。いつか心から乾杯を叫べる日が
早く訪れますように!。


9月3日(土) 
PM4:00 肛門科から戻り遅い昼食後少し横になったらついつい眠りこけてしまい
こんな時間になってしまった。
今週一週間善くやったと思う、ガンバったと思う。自分を褒めてやりたいと思う、
叉家族や職場の仲間にお礼を言いたいと思う。
昨晩缶ビールを2本飲む、美味い実に旨かった。

(今週一週間の追想)
毎朝5:00起き、シュミレーション通り牛乳から始めお茶、トイレ、朝風呂に続き朝食
そしてトイレ、トイレと手順を踏み決死の覚悟で家を出、比較的空いている各停に
乗り出社、内勤を主体に近場の得意先様との打ち合わせ業務をこなし6時過ぎに
退社、8時過ぎに帰宅し10時就寝と版で押したような日々では有りましたが、心身は
大きく変貌を遂げた一週間でありました。
パンツのなかに生理用品を装着し、鞄には替え下着をいれ、息を切らしヨタヨタと
前かがみで歩き、腰を浮かせて椅子に座りと云った数日を経て日増しに心と体の
バランスがとれだし自信が付き冒険心が再生されて来だした7日間でした。
職場復帰をもう少し伸ばしたらと云う意見が当初あり実際のところ自分でも不安を
抱えてのスタートでしたがなんとかランディング出来たのではないかと思います。
”日にち薬”とは、上手く言ったものですね!。


9月11日(日)
AM11:00晴天夏日、先程衆院選の投票から戻る。
今朝買い物を兼ね散策をする、何日ぶりであろうか リハビリでない散歩をするのは。
好奇心・冒険心が回復しそれと伴い自己投資意欲も出てきた、少しづつ6月以前の
自分を取り戻しつつ有る様に思える。
業務復帰の方も先週無事クリアー、先々週よりも手応え実績ともUP出来た。

体調については

「善くなったこと」
食欲が出てき、体重が増えてきた。
今日 61Kg  ( 退院直後 58Kg  入院前 64Kg )
お腹周りが太くなった為か傷痕が2ミリに広がった。

「変化なし」
便のコントロール、今週も5時起き継続(キッィなあ~!)。
歩行時の患部違和感。

「気になること」
尿意が自覚しにくい(溜り感が分かりずらく少量だと出しづらい)。
時々尿道に ピィッ とした軽い痛みが走る。

嬉しかったこと

今回の体験に触発され同僚が精密検査を受け、また会社が健康診断 2次検査の
義務づけを次回からおこなうと決めたと報告をいただいたこと。
そして ”親爺の闘病日記” への感想メールをいただいたこと。

今この日記を書きながらビールを飲んでいる、昼間のビールこれも元気になった証か。
さあ~また一週間、自分らしく頑張るぞぉ・・・!。


9月23日(金) 秋分の日
PM2:10先程、高級チョコレートメーカーM社カタログの印刷立会い3日目を無事済ま
せて来た、なかなか良い出来である、こういう時はOKサインをするのが実に気持ちが
よいものである。
昨日定期診察の2回目を受けた、特に問題無くあっけなく終わる、待ち時間とその間に
かかってくる業務電話の回数を考えるとどうも割り切れないが診察を受けない訳には
いかないので少々腹が立つ。
前回UP9月11日よりほぼ2週間目、この間は通常生活への良きアプローチに成ったと
思う。
以前と代わらない業務量をこなし、残業も20時 時には22時過ぎまで連日行った、
やっぱりしんどい情けないが何度もギブアップしそうになった。
17日から19日まで2泊3日で大阪に戻る。ユニバーサルスタジオ隣接のホテルに宿泊
し姪の結婚式列席と両親や兄弟夫婦との再会を果たす、元気な姿を両親に見せられ
大いに満足する。
相変らず朝は、5時起きお決まりの手順。
お腹の傷は硬く突っ張ってきた、体を動かす毎に違和感が感じられる。
便の調子は相変らず不安定、小便の溜り具合も判りずらいが何とか人並みに近い
生活が出来る自信が持てるようになった。


10月22日(土)
PM3:00,先程会社より戻る。
海浜幕張駅は、大勢の人でごったがえしていた。モーターショー初日と日本シリーズ
の開幕戦が重なった為であろう。この賑わいを写真に撮りたかったのだがお腹の調子
がそうさせてはくれず真っ直ぐに帰ってきた。朝からの小雨も、ようやく止みそうで
マリンスタジアムでの好ゲームが期待出来そう、ロッテ頑張れ!!。
先日、20日に3回目の経過検診を受ける。特筆すべき事なし、順調な推移に主治医の
I 医師も満足そうであった。
便のコントロールは、相変らずの早朝の儀式と迂闊な放屁が出来ないこと以外、退院
直後に比べ格段に善くなった。渋滞覚悟の高速にも乗れるし、肛門痛が治まった為
ウオシュレットを頼む心配をしなくてよくなりその分行動範囲が広くなった。
体調は。患部の違和感が有るものの概ね良好。食欲も出てきたと云うより少々食べ
過ぎ・飲み過ぎの感がある此の頃である。
会う人毎に顔色が善くなりましたねと云われ、身だしなみにも気配りできる気力も付
いてきた。


10月23日(日)
PM2:00 ,散歩より戻り、葱子を肴に芋焼酎を飲みながらワープロを打っている、
すごく良い天気、右頬が熱く画面が光線で非常に見にくい。
昨夜の日本シリーズ、ロッテ先勝 7回濃霧コールドゲーム。今江選手の目が輝いて
いた、私はこの様な人物が好きだ。と、云うことで今朝は、つわもの達の夢の後で
あるマリンスタジアム周辺を散策してきたしだい。
スタジアム後方は、東京湾が広がり昨夜の濃霧もこの湾の仕業である、その波洗う
幕張の浜で缶ビールを友に一時間ばかり波を見つめて来ました。昨夜の濃霧が嘘の
ような”晴天なるも波高し”状態の海の向こうに、富士の山が薄青く望め、絶好の
ロケーション、3ヶ月前までは厚いガラス窓に遮られていた風景が目の前に広がって
いる、望めば冷たい海にも飛び込めるし、足元の砂にも触れられるし切望していた
状況が今まさに実現している。 が、違う、何かが違う、なにか虚しい。
同じ風景なのに何かが違う、20分、30分身じろぎせず波を見つめ、富士の山を見つめ
たどり着いた答えが 「 時間感 」 時間の移ろいと同期していた感覚が何時しか
時間に追い越され、時間を追う生活のなかで触覚をもがれ、棘とげの皮膚に脂肪が
付着し、何も感じられなくなったのでは・・・・。
答えを吟味する間もなく、無理やり生ぬるくなったビールで、体の中にそれを流し込
む悲しい自分と、それを賞賛する自分が頭の左右を交差した。
生きるとはなんだ。人生とは、なんだ。若い時に酔っては”人生てろん なんてろん”
と、訳も解からんまま口ばしっていたが56歳になったいまでもよくわからない。
眼の前の海を見つめ、白い波頭を追い続けるが3ヶ月前には居たイルカ達は居ない
観ることが出来なかった。
遠く富士の山を横切る小さな点が、頭を回すと濃い点、光輝く点、薄い点と等間隔で
一定の速度で移動し雲間から次々現れてくる、羽田に降りる飛行機の群れ、お尻を
精一杯突き出し出来るだけ水平を保とうとしている。その向こうに飛び立とうとして
いる飛行機の点・点、頭を限りに高く持ち上げ苦しげに移動している。
人生とは、生きるとはなんだ。
叉、明日から時間を追いかけ、追いつき、追い抜かれる生活のなかに身を委ねる、
これは自分が選んだ道。
もう少しで頂上に着けるかもしれないし、もう一山超えねばならないかもしれないブラ
インドの道を、もう一頑張りしてみよう。と、おもう。

何時かまた、イルカ達が見える自分に戻れる日を楽しみに。


だんだん、なんとなく、この日記を書く熱が薄れてきた。このあたりが一杯いっぱい
今日で一旦筆を置こうと思う。
続きの時は、再発した時か5年後の完治宣言の時に成るかと思う、頑張れ自分。



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