品種・カレンベリー 5代目栽培記録  
栽培・記録 山口純一 
 2015年6月21日~2016年6月28日 
栽培株系譜=4代目三次(3代目三郎株の2番芽)の二番芽 
 
 
<参考写真>
 4代目栽培の様子(2014年8月13日~2015年5月27日) 
右端の”三次”が5代目の親株です。
 
 
 
2015年6月21日 栽培開始 

   
ランナー先端部の幼葉が5代目になる芽です。   本葉展開後に鉢受けした様子です。(左が栽培苗) 
 
 ランナー更新でカレンベリー種を栽培し5代目となります。

今までの栽培で感じたことは、次の3項目があげられるかと思います。
(1)ランナー更新による株の劣化は見受けられない。
(2)太郎株の形質変化は特に感じられなかった。
(3)形質の優生性は遺伝する?
そこで5代目の栽培目標は、”親株より如何に収穫(数or品質)を高
められるか” に絞り栽培を始めたい
と考えています。

栽培プランとして

(1)最も成績がよかった株から子株を採る
(2)栽培用土環境を整える
ということで、”三次”株を親とし、ランナーの2番芽を5代目株に選ん
でみました。

用土は、芽採り用・鉢上げ用・株充実用・鉢増し用・収穫前鉢増し用と、
株の状態に応じ用土と鉢の大きさ
をUPしていき恰も畑で栽培している
かの環境を再現し、どれ程栽培用土の”土力”が栽培に影響するかも

確かめてみたいと考えています。
2番芽を選んだのは、芽の勢いがニュートラルの方が好い様に感じた
だけで他意はありません。

今回は、鉢増しをする為の栽培スペースの制限で一株だけの栽培と
なります。
 


2015年7月19日 (鉢上げ) 
 
 
写真 左から太郎株・次郎株(栽培苗)・親株・親株の切除した葉 
 
 
  記録的猛暑(梅雨の晴れ間)と、台風の影響で疲弊する親株・子株を
見かね本日夕刻鉢上げをおこない
ました。まだ根はギッシリと生えてお
らずタイミング的には少々早計であったかも知れません。

鉢上げと同時に親株の処分を行いました、栽培スペースがあれば子株
と親株の同時栽培で栽培比較が
出来るのですがベランダ栽培となれば
そうはいかず通例の処分としました。枝葉を切り取り鉢から株を引き

す行為は、毎回気持ちのよいものではありません。


   

上左写真が5代目株候補です(4代目三郎株の次郎)。一応バックアップと
して太郎も鉢上げしています。

右上写真は、親株の根の状態です。土力不足が感じられ今回の試み(土力
効果の確認)として鉢増し効果
で土力効果を立証したいと考えています。
”孫に手作りのイチゴを食べさせたい”との思いで今日までやって来ましたが、
自分の為の栽培へと変容して
来たみたいです。とは云え今春も孫は実が赤
く熟す過程を楽しみ、イチゴ狩りと言っては美味しそうに食べて
くれました、
その姿をパワーの糧にして、さて5代目の成果や如何に・・・
 


 
 2015年8月31日 (鉢増し) 
 
   
 
8月来の猛暑が一段落しここ数日ぐうっと秋めいてきました。
8月31日小雨、本日三郎株の次郎を鉢増ししました。予想していたよりも
根数は少ないように感じられましたが
太い根に力があり良き苗として育っ
ていると評価できます。

鉢増しは、左上写真の根下部にある鉢底石を取り除き、根切りせず下根を
広げた状態で新しい用土にのせて
周囲に用土を詰める方法を採りました。
用土は、鉢花培養土5:赤玉土+桐生砂3:腐葉土1.5:鶏糞+有機石灰
0.5(凡そ)です。
今後の栽培計画は、今回の鉢増しを第一回とし 来年2月
頃に再度鉢増しを行う予定です。肥えた用土で栽培
するとどの様な結果が
生まれるのか、5代目栽培の目的の一つとして”土力”を確認したいと考え
ています。
 

2015年10月21日 (現況) 
 
   
 
只今の成育状況です。


古葉は、都度切り取っています。葉色も良く順調に育っているように見受け
られますが、新葉の一部分が黒ずみ
葉ヨレが発生しており少々気掛かり
でありますが今の処薬剤の使用はひかえています。
 
 
 2015年12月 (topic) 
 
12月25日 古葉刈り 
   
古葉削除前   削除後 
 
順調に成育しています。

歴代のなかでも一番成育が良いように感じられます、新葉の黒ずみ
葉ヨレも落ち着いているようです。
本日古葉刈りをおこないました、土力をつけ株をより大きくする為近々
鉢増しを行う予定です。
 
12月29日 鉢増し 
   

今期の栽培テーマの一つ ”土力の栽培効果” を試す為に本日鉢増し
をおこなう。
当初は来年の2月ぐらいを目処としていましたが暖冬傾向と苗の状態を
勘案し今回の作業と成りました。

  データー 鉢増し前 鉢寸 上辺220 / 下辺160 / 高さ
190    
         
鉢増し後 鉢寸 上辺300 / 下辺220 / 高さ310 

畑栽培ほどには行かないが底部に新しい用土を充分補充することが出来、
土力効果の比較は可能と思われる。 

    * 鉢増し用土の比率は右上イラスト参照

植え付けは前鉢から抜き鉢底石を取りそのまま新しい用土(110ミリ)の
上に据え置き側面に用土を入れ込む方法で根切りはしていません、また
表層には腐葉土を薄くかけ軽石をばら撒いています。
 
用土は、底部(100ミリ部分)には 
    桐生砂3.5:腐葉土2.5:園芸用土2.5:鶏糞1:有機石灰0.5
    側面と底面上部(10ミリ)は 園芸用土単独
底部・側面用土のなかに”ぼかし肥(錠剤)”を半掴み程度混ぜ込んでみ
たこれ以降化成肥料は使わず有機肥料(主にぼかし肥料)を使用してい
く予定。
 
 
 2016年1月 (topic) 
 
  1月11日 花芽が生成していました。
 

鉢増し後の成育は順調、本日花芽生成を確認近々削除する予定。
 
 
2016年3月 (topic) 
 
 3月17日 現況
   
 

1月11日掲載写真の花芽は1月末に摘芽し、痛んだ古葉も2月期に
随時取り除き上写真に至る。


成育良好、花芽が6芽生成随時受粉作業をおこなう。まだ寒暖さ激し
く多少の不安があるも実成りに挑戦して
みたいと思う。
(右上写真真中 花径22ミリ 
*親株4代目に比べ花径が小さいのが注目される!因みに4代目
(4月17日)の
記録では34~40ミリとなっていました。
さて どの様な実ができることでしょうか?
 


 2016年4月 (topic)
 
 4月18日 強風被害のメンテと冷害実の摘果
 
 

 4月17日の大風による傷み葉の切り取りと摘果をおこないました。

勢いよく立ち上がっていた葉が前日の強風により折れ傷んだ為本日摘葉しま
した、残した葉にも擦れ傷が在りますが光合成の為に残してあります。
 (左上写真 摘葉前 ・ 右上写真
 摘葉後)
また、3月末の戻り寒波による冷害被害を受けた実(7果)の内4果(3月17日
写真の花達))を摘果しました、残した3果の目的は冷害果の行く末を確認し
たい為です。

  摘果後の実付き状況
  正常に肥大中のもの  9果
  花・花芽展開中のもの 4果
  その他      冷害果3果 
 

 2016年5月 (topic)
 
  5月4日 再度の強風と初収穫
 
     主葉の多くが折れた様子    6g 

再度ぼの強風で茎折れ発生、まともな茎・葉は成育中の幼葉のみと成り
ました。


日当りと風通しの良いベランダ栽培ではプラスもあればマイナスも在る、
致し方ないことであります、少なくなった
葉でどこまで果実が成育出来る
のか見守っていきたいと思います。


本日一個収穫しました。

重さ6g 小さな果実でありましたが初収穫は嬉しいものです、熟し具合も
よく味も良好で
有機肥料の成果が出ているような気がします。
  
残していた冷害果3果も摘果し、残り12果 満身創痍の5代目株無事全果
収穫できるのでしょうか?
 


 
 5月7日 収穫 
 
5g                 7g                6g 
 
 5月8日 収穫 
 
5g           5g           6g            6g 
 
  5月17日 収穫
 
6g                     13g 
 
 5月21日 最終収穫
 
11g                     9g 

 5代目栽培総括 
初孫に手作りのイチゴを食べさせたい、それも誕生月に。と思いつき2011年11月6日
より貧相な売残り苗1株購入し栽培を開始、ランナー更新5回目(5代目)の収穫を終
えました。
誕生日の前後には常に赤い実がある喜びと、小さなランナー芽が成長し大きな葉を
茂らせ白い花を咲かせやがて実に変容していく様を身近で観続けてきた5年間、
孫にとってのその体験は果汁の甘味以上の価値はあったのではないか!と推測し
ています。
  
さて、今回の”5代目栽培記録”をもちまして”イチゴの栽培記録”ページの公開を終了
させていただきます、とは言えランナー更新による品質の変化の見定めや、ベランダ
園芸のレギュラー作物としてこれからも栽培は続けていきたいと思っています。

「栽培記録を終えるにあたり五代目栽培から見えてきた事」

 今回の五代目栽培テーマは、”親株より如何に収穫(数or品質)を高められるか” 
 でありました、その為には!
(1)最も成績がよかった株から子株を採る 
(2)栽培用土環境を整える
 
 を履行し栽培を進めてきましたが、収穫数12個・最大個体重さ12gと個数的には
 三代目(三郎株)の24個・大きさにおいては四代目(三次株)の25gには及ばない
 という結果に終わりました。
 
優良な株を土力ある用土環境で育て 何故?・・・
  さんざん考えて”露地栽培では、ランナー芽の鉢上げ・花芽分化・実分化・etcの
  時点での天候(寒波・強風などのタイミング)が作柄に大いに影響する”との結論
  に達し、温度管理が出来ない栽培環境であれば過度な収穫目標をもたず、その
  時々の出来不出来をおおらかに楽しむのが一番と思い至りました。
  とは言え、甘く美味しく大きなイチゴをより多く収穫できればなお嬉しい、と言う
  ことでこの5年間で得た栽培ヒントを記しておきます。

少数栽培時の作柄をよくする為のヒント
  
  子株(栽培株)採取
  1)親株が複数ある場合は、最も成績がよかった株から子株を採る
  2)健康なランナーを選ぶ
  3)子株を複数鉢上げし、成長経過を観察して栽培株を選ぶ
  
  栽培法
  1)鉢上げと次の鉢増し用土には過剰に肥料を入れない(元気な根を
   育てる為)
  2)栽培鉢(3回目の植替え)は、3~4代目に使用した大きさの鉢を
   使う(4回目の鉢換えは無駄?)
  3)肥料は有機を使う(化成肥料より食味・甘さの感じが好い)
  4)3月以前に開花しそうな花芽は早い時点で摘芽する
  5)古葉・傷葉は都度取り除く
  6)適切な水やり(これが一番難しいのですが・・・)
 
 
 <5年間の歩み> 
 
写真左より、2012(初代)・2013年(2代目)・2014年(3代目)・2015年(4代目)・2016年(5代目) 

*只今 六代目の芽を採取する為古葉を取り除き株を養成させています、
次回はランナー芽の鉢上げを掲載させて
戴き栽培記録の最終号とさせて
いただきます
 
 
2016年 6月  
 
6月28日 子株採取準備 
   

 親株から良質なランナーが3本生成し、それぞれ太郎株の葉を開かせ
次郎株の芽を伸ばしはじめてきました。

 
その内の最後に生成してきたランナーの太郎株を鉢受けしました(右上写真)、
6代目として栽培するのは鉢受け
ランナーの先端にある芽(次郎株)です、
もう少しランナーが伸び三郎株の芽が生成したら子株の採集をする予定
です。
 
さて、あと何代続くか?
ランナー更新による形質変化は生じるか?
 
取り合えずは6代目の栽培準備にかかりたいと思います。 
 
 
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